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コラム

■「近ごろ気になること」を書きとめました

「食生活」や「健康・医療」に関して、「近ごろ気になったこと」を書きとめました。「健康情報」ページとは異なり、執筆者(最下段に示す)の意見が反映されています。
牛乳は体にいいのか悪いのか
●なぜ牛乳は定期的にタタカレルのか?
 私は牛乳を飲むと下痢をしやすいのですが、それにもかかわらず牛乳は好きです。「健康にいいから」という理由だけではなく、味も好きなのです。でも、牛乳はマスコミでよくタタカレます。古くは「高温殺菌牛乳は栄養が破壊されている」というのがありましたし、最近では「BSE」「遺伝子組み換え作物飼料」の問題、また今年の4月には『牛乳には危険がいっぱい?』という本も出版されました(この本、なぜか「牛乳」という文字と「危険」という文字が大きく、最後の「?」がヤケに小さい)。この本の冒頭に書かれている「牛乳はあくまでも子牛のための食料である」というのが、多くの牛乳批判の根元であるように思えます。
 そもそも、地球上には母乳以外に「元もと人間の食べ物」というのはありません。人間が他の生物を捕まえて食っているだけです。肉だって魚だって米だって、他の生物です。ですから、走って逃げることのできない植物は、動物に食べられないように、毒を持っていることが多いですね。ジャガイモの芽なんかはその典型です。それから比べれば、牛乳は子牛のためであったとしても「元もと食料」です。哺乳類(ヒトもウシも同じ哺乳類)に必要な栄養素がまんべんなく含まれている、理想に近い食品です。大いに利用すべきだと思います。
 ここで、ここ数年マスコミで取り上げられた「牛乳に関する誤解」について解説します。
・超高温殺菌はタンパク質が壊れる
 現在、多くの牛乳は超高温殺菌(135度前後で2秒くらい)を行なっています。低温殺菌(65度で30分)や高温殺菌(75度前後で約15秒)に比べて、細菌数はかなり少なくなります。135度・2秒くらいの加熱では、ごく少量のタンパク質は変質するかもしれませんが、破壊されたりはしません。この程度でタンパク質が変質したり破壊されるのでは焼き魚や焼き肉は大変なことになります。ただし、超高温殺菌では風味は低下しますね(好みの問題ですが・・)。
・牛乳はBSE(狂牛病)の不安がある
 BSEは高齢の乳牛に発生する確率が高いので牛乳を心配する気持ちはわかりますが、BSEの原因とされているプリオンタンパク質が牛乳から検出された例はありません。牛乳は「安全」とされています。ちなみに日本でBSEと診断された6頭の牛はいずれも平成7年〜8年に生まれた乳牛です。同様の環境で育った乳牛はまだ多頭数生きていて、牛乳を搾っているというのは事実です。
・遺伝子組み換え作物をエサとしている
 日本の乳牛の飼料に遺伝子組み換え作物が混入していることはほぼ間違いないでしょう。私は、現時点では遺伝子組み換え作物を作ることには反対ですが、遺伝子組み換え技術で作られた作物を食べても、食べた生物(ウシでもヒトでも)に害を与えることはないといえます。遺伝子組み換え作物をエサとしている牛の牛乳には、まったく影響がないでしょう。
・牛乳は血中コレステロール値を上げる
 コレステロールはヒトの細胞にとって絶対に欠かすことのできない成分ですから、ヒトは体内でコレステロールを生産しています。食事として入ってくるコレステロールの量よりも体内で作る量のほうが約4倍も多いのです。血中コレステロールが気になる人は、牛乳を制限するよりも食事全体量の制限つまり「食べ過ぎ」に気をつけることのほうが大事です。ちなみに、低脂肪乳のコレステロール含量は普通牛乳の約半分といわれていますが、その差は牛乳100gで約6mgです。一口でいうと「微々たるもの」といえるでしょう。
 情報は正確に、牛乳は適量を!(2003/8/1 佐藤達夫)
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