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コラム

■「近ごろ気になること」を書きとめました

「食生活」や「健康・医療」に関して、「近ごろ気になったこと」を書きとめました。「健康情報」ページとは異なり、執筆者(最下段に示す)の意見が反映されています。
みのもんたがテレビで「健康にいい」と言っている食べ物を食べていれば、健康になれるか?
 私はあるところで定期的に栄養の話をしています。その講座の生徒さん(看護師さん)から、こういう相談を受けました。
 患者さんの一人に糖尿病のおばあさんがいるそうです。当然、食べ物にはとても気を遣っています。テレビの健康番組は可能な限り見るそうです。特にみのもんたさんの大フアンで、お昼の番組は欠かさず見ています。しかも、ただ見るだけではなく、みのさんが「これは体にいい」というものは全部メモするのだそうです。
 メモするだけかって? そうではありません。メモしたものを片っ端から買ってきます。そして、朝起きると(おばあさんですから朝は4時ころには目が覚めます)、買ってある食品を次から次へと食べるのだそうです。一口ずつ食べても食べ終わるのはお昼近くになります。もちろん、朝食も昼食も食べません(食べられません)。その結果、糖尿病の数値はどんどん悪くなっていきます。
 病院の栄養士さんに言ってもらってもやめようとしません。理由を聞くと、「アナタが言うことよりもテレビで言うことのほうが正しいと思う」からだそうです。しかも「私が食べているのは全部『体にいいもの』だけだから、心配ないよ」と信じています。そういわれればそうです。おばあさんが食べているのは「体にいい食品」だけです。健康を害することなどないはずです。でも、現実におばあさんの体はどんどん病に蝕まれていくのです。
 重要なのは「食習慣」です。一日三食を規則正しく食べる、栄養素バランスが大きく崩れないような食べ方をする、適量(太りもせずやせもしない量のことです)を食べる、というような常識的に正しい食習慣を実践することが先です。その上で、「健康にいいといわれる食品選択」が生きてくるのです。上のおばあさんのように、この順番を入れ替えてはいけません。
 もう一つ、大事なことは「テレビ番組は、正しいことが第一優先で作られてはいない」と言うことを肝に銘じましょう。多くのテレビ制作関係者の頭にあるのはまず最初に「見てもらうこと」です。「正しいこと」よりも「目新しいこと」「面白いこと」「意外なこと」「話題になること」が優先されます。テレビとはそういうメディア(媒体)です。(2003/5/1 佐藤達夫)