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■「近ごろ気になること」を書きとめました
「食生活」や「健康・医療」に関して、「近ごろ気になったこと」を書きとめました。「健康情報」ページとは異なり、執筆者(最下段に示す)の意見が反映されています。
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摂食・排泄ケア総合情報誌『タベダス』創刊
2月から3月にかけていくつかの新聞で取り上げられたので、もしかしたらご存じのかたがあるかもしれないが、2月10日に『タベダス』という摂食・排泄ケア総合情報誌(風人社発行・隔月刊)が創刊された。微力ながら私もお手伝いをしているので、今月はこの雑誌をご紹介する。 ●「キザミ食を追放し、おむつを減らす」が編集方針の新雑誌 発行人の介護ジャーナリスト・松井省吾さんは私の仕事仲間でもある。編集長は山崎幸江さん。実はこの2人はご夫婦である。2人とも数年間にわたってご両親を介護した経験を持つ。2人ともお父様に痴呆がでて、最近お2人とも相次いで亡くなられた。その介護経験から「人間らしい介護」を目指して『タベダス』の創刊に踏み切ったのだという。 『タベダス』・・・・すごい誌名である。「人間らしく食べ、人間らしく排泄する」・・・・そのまんまを誌名とした。2人の意気込みが感ぜられる。 今の日本では、介護が必要となったお年寄りが施設に入ると、しばらくして半数近い人がキザミ食を食べる(食べさせられる)ことになるという。普通の食事では喉を詰まらせたり、食べ物が肺に入って肺炎になったりすることを防ぐという理由からだ。しかし「キザミ食は安全」という考え方は、専門家からはすでに否定されている。にもかかわらずいっこうに減る気配がないのは、関係者が不勉強であることと、食べる人のことよりも自分たち(食事を提供する側)の都合だけを考えるからだと、2人は考えている。 キザミ食を追放して、人間の食事としてふさわしいソフト食(今月の【健康情報】参照)を食べてほしいというのが編集方針の1つの柱である。「栄養補給だけを考えて提供されるキザミ食」は必然的に経管栄養(鼻に管を入れて栄養を与える)へとつながり、その管を引き抜かせないために(鼻に入れた管が非常に苦しいのでお年寄りが抜こうとする)手足をベッドに縛る「拘束」へと至り、早晩、お腹から胃に管を入れて栄養を与える「胃ロウ」に取って代わられることになる。 このような状態に至ったお年寄りはきわめて高い確率で痴呆になり、また、短い期間でお亡くなりになることがわかっている。 いっぽう、「ダス」つまり排泄のケアも深刻である。介護施設のお年寄りは「主として施設側の都合で」(松井氏)、かなり高い確率でオムツをあてがわれるのだという。オムツをされ、そのまま排便することを余儀なくされ、その結果、ベッドから動けなくなる。動くことが不自由になったためにトイレに行けなくなり、仕方なくオムツをあてることになるのではない。話が逆なのである。当然のごとく、オムツをされて動けなくなったお年寄りは、いわゆる「寝たきり」になり、そして痴呆となっていく。 「寝たきりと痴呆は施設によって作られる。逆にいうと寝たきりと痴呆はケアの仕方によってはかなり防げるはず」というのが松井さんの考え方である。もちろん、「キザミ食追放、オムツ減らし」は口でいうほど簡単にできることではない。介護する側にも理由はあろう。しかし改善の余地は充分にある。『タベダス』にはそのことに必死で取り組んでいる介護施設の現状や、ご家族たちの生の声が紹介されている。困難ではあっても「やればできる」ことがよくわかる。 『適食情報』では、今後も「介護食」についてときどき取り上げていきたいと思う。(2004/4/1 佐藤達夫)
★PRのコーナー★ 講談社から『旬の食材』という食材事典が刊行されました。全7巻のうち「春の魚」と「春・夏の野菜」の2巻が3月中旬に発売となっています。全7巻の健康情報を、執筆者の1人として佐藤達夫が担当しています。特に野菜の巻は健康情報がウリになっているようです。ぜひご覧くださるようお願いします。
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