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コラム

■「近ごろ気になること」を書きとめました

「食生活」や「健康・医療」に関して、「近ごろ気になったこと」を書きとめました。「健康情報」ページとは異なり、執筆者(最下段に示す)の意見が反映されています。
図書紹介『安全な食品の選び方・食べ方事典』
 今月の【コラム】は、“宣伝”で申し訳ないのですが、拙著『安全な食品の選び方・食べ方事典』の紹介です。
 『安全な食品の選び方・食べ方事典』は、この4月に、成美堂出版から発売されました。実践女子大学生活科学部教授の田島眞先生との共著です。
●食品を「食べるか・食べないか」は消費者が判断すればいいこと
 米国産牛肉のBSE(牛海綿状脳症)、鳥インフルエンザ、輸入野菜の農薬、食品添加物の使用違反など、食品の安全性が脅かされる事件が相次いでいます。それに伴い、消費者の食品安全に対する関心が異常なまでの高まりを見せ、また、それに関する書籍も相次いで出版されています。
 ただ、私が気になっているのは、それらの書籍の多くが(ほとんどが、といっても過言ではありません)、「食品の安全性」ではなく「食品の危険性」を誇大に強調している点です。
 私たちが口にする食品が危険なモノであってはもちろんいけませんが、「100%安全なモノでなければいっさい食べてはいけない」という基準で判断すると、食べるものはほとんどなくなってしまいます。
 また、仮に「安全性が高い」としても、価格もきわめて高かったり、少量しか生産されておらず、ごくの一部の限られた人の口にしか入らないものだけを「食べてよい食品である」とすることは、私には抵抗があります。
 食品の危険性だけをいたずらに誇張して取り上げ、恐怖感をあおることによって消費者の正しい選択を誤らせたり、ごく限られた「安全である」という食品だけを大量に食べることによって、かえって健康を害する状態が、危惧されています。
 食品の安全性は、その中身(農産物であれが農薬が含まれているかどうか、加工食品であれば食品添加物が使われているかどうか、など)にも左右されますが、その扱い方(消費期限や保存法など)にも大きく影響を受けます。また、私たちが健康を保つためには、「何を食べるか」ということがとても大事ではありますが、それと同様に(もしかしたらそれ以上に)、「どのくらいの量を食べるか」「どうやって食べるか」も、とても大きな影響を及ぼします。巷で「安全だ」と称されている食品だけを大量に食べて、肥満や栄養の偏りのために健康を害している人をおおぜい知っています。
 『安全な食品の選び方・食べ方事典』では、食品の危険性だけをいたずらに誇張して取り上げて「買うな」「食べるな」と挑発することはしてありません。また、逆に、「みんな安全だから何も気にせず安心して食べましょう」という楽観論を提供してもありません。
 現代の科学で明らかになっている事実だけを、できるだけ冷静にわかりやすい表現で示すことに努めました。科学的で偏りのない情報を読者に提供し、「その程度ならこちらを買おう」「それならば多少高くてもこちらを食べよう」「これを食べるのはしばらくはやめておこう」という選択を、読者自身に委ねるようにしたつもりです。
 私は、長い間「なるべく多種類の食材を、適量食べることが、健康な体を作る」という考えに基づいて、いろいろな情報を提供してきました。この書籍は、そんな食生活を送ろうと考えているかたがたのお役に立てると信じています。おかげさまで本の評判もいいようです。
 1575円(消費税込み)です。よろしくお願いします。(2004/6/1 佐藤達夫)