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■「近ごろ気になること」を書きとめました
「食生活」や「健康・医療」に関して、「近ごろ気になったこと」を書きとめました。「健康情報」ページとは異なり、執筆者(最下段に示す)の意見が反映されています。
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セカンドオピニオンって、簡単に聞けるの?
●ガンは手術すべきか、化学療法で治療すべきか 医学の進歩によりガンはけっして不治の病ではなくなったが、いまだに「怖い病気」であることには代わりはない。発見が遅れたり治療法が適切でなかった場合には、取り返しのつかない結果を招くことになる。患者としては「最高の治療」を受けたいのは当然である(これはどんな病気でも同じだが、正直いって風邪くらいなら、買い薬で済ませても大事には至らない)。 もしあなたがガンであることが判明し「手術をして患部をそっくり取り除きましょう」と主治医から言われたとき、あなたはすんなりと従いますか?「本当にガンなのだろうか?」「ガンであるとしても手術以外に治療方法はないのだろうか?」「抗ガン剤や化学療法では治療できないのだろうか?」などの懸念が生ずることだろう。そんなとき「違う先生の意見も聞きたい」と思うのは当然のことである。 この「別の医師の診断」をセカンドオピニオンという。 2004年9月18日、東京都内で、日本医学ジャーナリスト協会主催の公開シンポジウム「セカンドオピニオン」が開催された。垣添忠生氏(国立がんセンター総長)、埴岡健一氏(セカンドオピニオンネットワーク発起人)、中澤幾子氏(乳ガン体験者、イデアフォー世話人)、松井寿一氏(胃ガン体験者、医療ジャーナリスト)らの講演によって、日本のセカンドオピニオンの問題点が浮き彫りになった。 ●主治医がつねに最高の医療を提供できるとは限らない 患者は、病気になって医師の診断を受けるときには「つねに最高の治療を受けられる」と考えている。はっきりと確信しているわけではないが、日本のように医療レベルが高くかつ情報の往来が盛んな国では、少なくとも「そうであってほしいという期待」はする。しかし、ガンのように治療法や技術が日進月歩の分野では、診断する医師によって治療法(治療に対する考え方)は、かなり大きく異なるのである。あるいは、同じ医師であっても医学の進歩につれて治療方針は変わっていく。 大事に至らない病気であれば誰に診断してもらっても大きな違いはないかも知れないが、ガンのような病気では、最高の医療を受けられるかどうかは、正に「命に関わる」大問題となる。「普段よく診てもらっている優しい先生だから」あるいは「気むずかしくて怖いけど大病院の偉い先生だから」等の理由で、たった一人の医師の診断だけに委ねるわけにはいかないであろう。 そういうときにこそ求められるのがセカンドオピニオンだが、コトはそう簡単には運ばない。まず日本では主治医に「違う先生の意見も聞きたい」とはなかなか言い出せない。思い切って伝えても、良い医師を紹介してもらえるとは限らない(同じ病院の医師に聞くのでは、治療方針が同じケースが多いので、ほとんど意味がない)。自分で探すのはとても大変である。セカンドオピニオンを聞けたとして、治療方針がまったく異なった場合には、どちらにすればいいのかの判断がむずかしい。セカンドオピニオンを聞ける医師が見つかったとして、主治医から医療データはもらえるのか? セカンドオピニオンの料金はいくらなのか?等々、問題は山積している。 ●ネットワークからアドバイスを受ける方法もある 一つだけはっきりしていることは、「心ある医師はセカンドオピニオンを推奨している」と言う事実である。中にはセカンドオピニオンと聞くだけでいやな顔をする医師もあるかも知れない。そういう医師は、新しい医学情報に敏感でない医師である可能性もあるので、そういうケースでは、セカンドオピニオンどころかファーストオピニオン(その先生の意見)自体を疑ってみる必要があるかも知れない。 シンポジウムのパネラーの一人である埴岡健一さんたちがボランティアで運営するセカンドオピニオンネットワークでは、セカンドオピニオンに積極的な医師の紹介だけでなく、「主治医が協力的でない場合の言いだし方」など、患者の立場に立ったアドバイスを受けることができる(直接ではなく、ホームページ上のQ&Aで)。 現在大きな病気に直面して悩んでいる人は、一度このホームページを訪ねてみてはいかがだろうか。ただし、次のようなケースはセカンドオピニオンとは言えないので、あらかじめ承知しておく必要がある。 ・主治医には質問しにくいので別の医者に聞きたい ・主治医の良し悪しを評価してほしい ・5年前に受けた手術が適切であったかどうかを知りたい ・家族の死因は手術ミスかどうかを知りたい、など また、セカンドオピニオンというのは「次から次へと主治医をかえること」ではない。基本的には、セカンドオピニオンを得たら主治医のところに戻り、主治医との信頼関係をより強固なものにして、最高の治療を進めるために行なうのだという理解が必要である。 なお、セカンドオピニオンは「できるだけ早い段階で聞く」ほうがいい、というのが垣添医師のことばである。(2004/10/1 佐藤達夫)
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