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コラム

■「近ごろ気になること」を書きとめました

「食生活」や「健康・医療」に関して、「近ごろ気になったこと」を書きとめました。「健康情報」ページとは異なり、執筆者(最下段に示す)の意見が反映されています。
話題の週刊誌から「取材」の申し込みがあった



 平成25年8月19日、週刊誌の編集者から、突然、メールで取材の申し込みがあった。
−−はじめまして。週刊○○の●●と申します。小誌では8月29日号発売号で「食品表示」に関する特集を組むべく、取材を進めています。−−という文面に続いて、私に何を聞きたいかが丁寧に書かれていた。
 週刊○○といえば、このところ下記のような特集記事で、業界内(?)で話題になっている雑誌だ。

・8月15日/22日特大号
 いま絶対食べてはいけない30品目リスト「中国猛毒食品」最新版
・7月25日号
 実名調査!スシ×ー、かっ×寿司、く×寿司、元×寿司、銚×丸・・・「激安ニセモノ食品」が危ない(「×」は筆者。誌面では実名)
・7月18日号
 クズ肉を固め、脂身、柔軟剤を注入した「成形肉」が大量流通・・・「激安ニセモノ食品」が危ない
・6月27日号
 ディ×ニーシー名物「ギョウザドッグ」は原料も加工も中国
 東京ディ×ニーランドの食品が危ない(「×」は筆者。誌面では実名)

等々。書き連ねるのもいやになるほど、ほとんど毎週、悪意に満ちた(としか私には思えない)記事を、今年のはじめから連発している。
 とても私の出る幕ではないと思い、「私は、基本的に、冷静に判断するほうなので、『煽り系の記事』には向かない。貴誌の期待には添えないと思う」とお断りした。

■予想通り「ボツ」になった

 しかし、編集者は「今回は煽るだけの記事でなく、現状の食品表示の見方と、今後の食品表示には何が必要かを伺いたい」と粘るので、お目にかかってお話しすることにした。
 マスコミの取材はかならずそうだが、つねに「急いでいる」。時間をヤリクリして22日の午後に会うこととなった。
 熱心な編集者で、あれこれと約2時間くらい話したであろうか・・・。中心は、6月に交付された「食品表示法」の問題点について。ただし、食品表示法は交付されたばかりで、基本的な部分は決まったが、詳細はこれから徐々に定められてゆく段階である。この段階で「問題点」だけを取り上げることに意味があるとは思えない。
 そのため私の話は、問題になりそうな項目をいくつかあげて、改善策を示すにとどまった(きっと、取材前に伝えてあったとおり、期待はずれだったことだろう)。
 「大変参考になりました」と礼をいって帰った編集者からは、その後、何の連絡もない。私も、発売予定日が過ぎても、すっかり忘れていた(もっとも、記事になるのであれば事前に原稿を見る機会がある、それがないので、まだ先のことだろうと思っているうちに、忘れてしまったのだ)。
 取材を受けたことさえも忘れかけた9月8日、例の編集者から1通のメールが送られてきた。いわく「その後のご連絡が滞り、大変申し訳ございません。取材させていただいた内容ですが、記事の方針が変更になってしまい、記事中に使用することができませんでした。本当に申し訳ございません」という内容。
 さもありなん。驚きはしない。が、もっと早くに連絡がきてしかるべき。
 で、9月5日号(たぶん8月29日発売だろう)を見てみたら、食品表示に関する記事が掲載されていた。

・中国産「肉エキス」「野菜エキス」にご用心!
 カップ麺・冷凍食品・・・「食品表示ラベル」の嘘

なるほど、こういう情報がほしかったのか・・・。それでは、私への取材は当然ボツになるな。
 と、ここまで書いたとき(9月9日)、出版社から9月12日発売号が送られてきた。担当者からは何の連絡もなく、メモの1枚も入っていなかったが、送られてきたからには、「こういう記事にしたかった」という意味なのだろうか?

・ジュース・お菓子 「危ない中国産」を見破る方法

 読んでみると、中国産がいかに危ないかが「20社実名アンケート」という一覧表とともに、書き連ねてある。コメンテータとしては、この類の記事の際によく登場する「食料問題専門家」、「農業・食品ジャーナリスト」、「食品評論家」、「食品表示アドバイザー」らが、ずらりと並んでいる。一歩間違ったら、私も「食生活ジャーナリスト」として並んでいたのか、と思うとゾッとする。むしろ、ボツにしてくれたことに感謝しなければならないようだ。
 いつもながら、マスコミの取材には学ぶところが多い。(でも、ボツになったのだから「取材謝礼」はゼロなんだろうな〜)。


(平成25年9月10日 佐藤達夫)